父の訃報の知らせを受けて、私は取るものも取りあえず機上の人となった。
西に向かう飛行機の窓から太陽がだんだん沈んでいくのを眺めていた。
その時『何を思っていたのか?』......その時の感情を思い出すことは出来ない。
ただ沈む太陽の事だけは鮮明に覚えている。
オレンジ色の赤い夕焼がだんだん沈んでいく.....飛行機から見る夕焼は初めてだった。
太陽が沈むにつれて空はだんだん暗くなっていく。
赤い夕焼は次第にオレンジ色から紫色に変わっていったような気がする。
父は長い闘病の末の最期だった。
子供の時からの父の思い出だけが浮かんでくるが悲しさは無かった。
父が亡くなった実感が湧かなかったのかもしれない。
夕焼は実に美しかった。
刻一刻と変わる景色に「毎日この様な夕日が機上から見れるのだな」と思いながら見ていた。
地平線だか水平線だかに接すると太陽はみるみる落ちていった、と ”最期の瞬間” 『丸い』いや『楕円形』に近い ”グリーン” の光がパッ!!と輝いた.....と思ったらスッと消えた。
一瞬の出来事だった。
その緑色のいや、それはやっぱり ”グリーン” と表現した方がしっくりする。鮮やかな、本当に綺麗な "グリーン" だった。
途端にあたりは漆黒の闇が支配した。 その美しさは脳裏に焼きついている。
それから何年か過ぎた新春。テレビを見ていると此れが『グリーンフラッシュ』だと知った。
色々な気象条件が重なり非常に希少な現象らしい。
人生でこの様な希少な素晴らしい体験が出来た事は、奇跡に等しいと思い出すたびに感慨深い。【匿名希望】
【写真】インターネットから借用しました。
神秘的な『グリーンフラッシュ』の動画を見つけました。
下記URLをクリックしてご覧ください。【ブログ管理人】
https://www.youtube.com/watch?v=yF_SCX9MTRA